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まとめて書く用

酒鬼~

と言われる前に自分で言う。酒鬼~。当然、飲んでいる。

しかし愉快な言葉だ。さけおに~しゅき~が日本語読みならば、北京語はちょうごえ~だ。

要するにアル中一歩手前と揶揄されている。とはいえfacebookでオレにそう言うのはみんな飲み屋関係なので、誰も似たり寄ったりではある。

もうすぐ33になる。もう5年くらい前から、一緒に遊んだり飲んだりする連中はみんな年下だ。いつの間にか歳を取った。一回りも歳が離れた小姐から言わなきゃ分からないから大丈夫!とよく言われるが、何が大丈夫だ。たまたまそういう容姿に生まれついただけで、それはオレの努力でもなんでもない。単に恵まれていただけだ。そして20代前半の頃のオレが今のオレを見てどう思うのだろう。

そんな色んな葛藤に悩まされている時に限って、以前同棲していた元彼女から連絡が入る。

どうしてる?元気?

元気。相変わらずだよ。

そう。やっと仕事が一段落したよ。すこしゆっくりしたい。

お疲れ様。オレの三倍くらい働いたんだから、すこし休みなよ。

1回、プロポーズされて断った。1回、プロポーズして断られた。それ以来、3年は会っていない。

その3年でオレの世界は広がり過ぎた。もう普通のサラリーマンには戻れない。そしてそれ故、独りで飲む酒が増えた。酒鬼~。酒鬼~。

酒鬼のまま死ねたらどんなに楽だろう。これが今のオレの孤独。孤独も歳と共に変質する。複雑に入り組んだ心は、自分自身ですら解きほぐすのは容易ではない。カントの言う純粋実践理性なんて、オレには死ぬまで辿り着けないだろう。

いつも空想の中で、右手に銃を持ち、こめかみに銃口を当て、静かに引金を引く。この饒舌で煩わしい頭を吹っ飛ばせたら、どんなに気分が良いだろう!自殺願望は無い。ただ静謐が欲しいだけだ。

そういう言葉に出来ない逡巡を払拭するために、台北の飲み屋に今日も顔を出す。日本では馬鹿馬鹿しいので絶対行かないが、台北だとテーブルチャージ1200元(約3500円)+ボトル代5000元(約14000円)で、閉店まで飲める。ボトルを空けなければ、テーブルチャージだけだ。そこで、少なからぬ不安を感じながら、それでも仕事と自らに言い聞かせ酒を煽る飲み屋の小姐の強さと愚かさを見ると、ほんの少し自分を忘れられる。そこで酒鬼~と言われるならば、それはそれで悪くない。

しかしここは本当に何を書いても良い。知る人も少ないオレだけの楽園。SNSはやはり息が詰まる。