ghost borders line

まとめて書く用

on the contrary

殺風景な部屋だ。1週間分の着替えと洗面用具とPC。部屋を借りて、もう1年になろうかというのに、物が増えていない。来るときに持ってきたスーツケース1つで、今からでも引っ越しできる。

酒を飲んで寝るためだけの部屋。タイル張りの床は本当に寒々しく、生活感が殆どない。綾波レイや飯田響也とほぼ同等だ。

元来多趣味なのだが、360を買えばフルHDディスプレイが欲しくなり、ギターを買えばアンプが欲しくなる。そして料理をするには調理器具が必要で、バイクや車を買えばパーツが欲しくなり、本やDVDを買えば置き場所に困る。つまり際限がない。例えそれが人生を豊かにするものであっても。かといって無ければ、貧しくなるものでもない。

「そんなに仕事ばかりしていて楽しい?」

ああ、楽しいね。人生を賭けるに値するくらい楽しい。

「仕事だけが人生ではないですよ」

そうだな。かと言ってキミがオレより物を知っている保証もないし、人生を楽しんでいる保証もないだろう。キミは知らないのか?フルマラソンを走っている人に対し、バイクで並走しながら楽しい?と聞くのは下衆と言うんだ。

「そんなに生き急いでどうするの?」

オレはオレに時間があまり残されていないのを知っているだけだ。可能な限り、癌を患う恩師に恩を返し、この不況にも関わらず日本の会社を辞めオレを慕って海外にまでついてくる馬鹿共を鍛え、母親が死ぬまでに必要な金を稼ぐには、時間はあまりに少ない。