ghost borders line

まとめて書く用

裁判記録

f:id:WiredDizzy:20121119085105j:image:w360:left

裁判に証人として呼ばれた。もちろん台湾でだ。契約履行・不履行の単純なビジネス上のトラブルなので、それほど深刻ではないし、そもそもちゃんとした契約書があるのだから、それに従えば良いだけの話だ。それよりもオレ自身こんなところに呼ばれるなんてのは初なので、非常に興味深かった。建物内からしても、ラウンドリーや理髪店、カフェテリア、おまけにコンビニまで完備しており、卓球場まであるという至れり尽くせりっぷり。ひょっとしてホテルより便利なんじゃないのかここは、と早朝から社会見学気分。

法廷内では、当然原告・被告席があり、法務関係者はそれっぽい専用のコスチュームを着ている。審判長の入廷を起立して迎え、いざ公判開始。書記官と記録係も左右に控えている。オレも当然証人として出廷、真実を話すことを誓う誓文に署名し、通訳がついた。この通訳が曲者で日本に長く住んでいたわりには、あまり日本語が上手くない。そしてよく間違える。何度か直接北京語で言い直す時があった。つーかこのオヤジ絶対よく分かってない。周囲からもコイツは…という空気が伝わってきた。

誰かが話す度に書記官がそれをリアルタイムでPC上で打ち、それを複数のモニタから関係者がチェックする仕組みになっていて、審査長からこう書けという指示も度々入る。それがそのまま記録に残るのだから、全員の目が終始そこに注がれる。自分が話している時もその場で記述されていく北京語に変換された自分の言葉を眺めていて思ったのだが、みんなある程度日本語を分かっている。通訳が訳す前にオレの言葉が変換されていくのを何回か目撃した。参加者みんな高学歴なのだろうな~。…そういえばオレが知っているだけでも、そこには台湾大学卒が4人いた。スゲー。

が、しかし一番の驚きは審判長(日本で言う裁判長だな)の若さである。恐らくその中では最年少。おまけに可愛い女性ときた。なんだそれ。裁判長と言えば髭面禿頭のオヤジではないのか!?裁判中もいまここに全く新しい属性が誕生したアア!!うぉお萌エエ!!等と心の中で喝采を上げていたのだが、うかつに審判長!質問があります!貴方の電話番号は何番でしょうか!?とでも発言しようものなら、書記官がそのまま入力し、発言記録として残ってしまう愚を犯すことになる。それは避けねばなるまい。しかし~あ~友達になりて~どこに行けばああいう子と知りあえるのかなあ~と妄想に耽ったりした。

9時30分に公判を開始して終わったのが昼前。公判と書けば、少し背筋が伸びる気がするが、要はケンカの調停である。両者の主張を聞きながらどちらが正しいのか?を判断する、人間が途方もないくらいの血を流しながら築き上げたシステムが裁判。良く出来ているなと感じつつも、朝から強烈なハイテンションで言った言わないの子供じみた主張を繰り返す両陣営の話を聞き続け、場を取り仕切り、話の落とし所を探り、和解を勧めるその年若い審判長が少し不憫に思えた。オレだったら日に1件でギブ。あのテンションで仕事は続かない。そして歳や性別に関係なく、その審判長に敬意を持たせるように出来ているあのシステムは本当に考え抜かれていて、そしてあの時、あの彼女こそが法であった。

帰りがけにはなぜか知らないが費用として530元もらった。彼女に会えるのなら、面倒でもまた行っても良いが、願わくば違う場所を期待したい。わはは。